ジェイテクトSTINGS VS VC長野トライデンツ

勝負どころで宮浦が躍動。第3セットは村山の3連続ブロックで勢いをつかむと、フェリペが強打で締めくくった

 勝った試合の次の日は、入り方が非常に重要だ。相手は目の色を変えて立ち向かってくる。受けに回ってしまうと、そのまま相手に主導権を握られかねない。
 その点で、今日は立ち上がりから全員の集中力が高かった。「出だしを自分たちのペースで進められたことが一番の勝因」と藤中は振り返った。VC長野トライデンツに勢いを与えることなく、最後まで走り切って3ポイントを手に入れた。

 幸先よく3点を先行した。セッター久保山の最初の選択肢は陳だった。高い打点から鮮やかに決めた。この日、スタメンで入った村山もブロックを決めた。そこから互いに1点ずつ取り合う展開。宮浦が強烈なスパイクで相手を弾き飛ばし、村山のクイックも相手を翻弄する大きな武器になった。確実にサイドアウトを奪い、1回目のテクニカルタイムアウトを8−5で先取した。
 チャンスを嗅ぎ分ける嗅覚にも長けていた。我慢の時間帯は、宮浦、フェリペのスパイクで確実にサイドアウトを切った。流れをつかむと、10−8から3連続得点。フェリペのサービスエース、藤中のブロックで突き放した。前日と同じくディグリベロとしてコートに入った興梠もファインプレーでチームをけん引。ゲームの流れを簡単に手放さなかった。
 村山のブロック、フェリペのバックアタックで確実に得点を重ねていく。16−11から4連続得点。フェリペはこの日、放った5本のバックアタックをすべて決めている。藤中がサービスエースをサイドラインいっぱいに決めた。陳がラリー中にクイックを決めるなど、コンビネーションを確立。バックアタックを決めた藤中も攻撃を活性させた。
 リリーフサーバーの道井がサービスエースを決めて22−12。これで完全にこのセットの趨勢を握った。宮浦がフェイントを落として23点目。藤中が粘り強くつないでセットポイントを奪った。村山の得点でフィニッシュ。第1セットを25−14と圧倒した。

 第2セットは宮浦が躍動した。序盤はスパイクでチームのサイドアウトに貢献。インナー、ストレートと打ち分け、相手に的を絞らせない。その内容からコンディションのよさが垣間見える。存在感で相手にプレッシャーをかけ続けた。
 中盤以降も宮浦を軸に攻撃を組み立てた。守備ではリベロの本間が安定感を発揮。正確なレセプションで、多彩な攻撃につなげた。宮浦のサービスエースで12−7としたところで、VC長野が1回目のタイムアウトを要求する。ここから押し込まれる時間が長くなった。タイムアウトでも流れを変えられず、一時は14−13と1点差に迫られた。
 チームを救ったのは陳だ。相手のバックアタックをシャットアウト。宮浦も続いた。本調子を取り戻すと、藤中、フェリペが得点を加算。リリーフサーバーの道井がサーブで攻め、フェリペのダイレクトスパイクをお膳立て。ブレイクポイントを奪い、再びリードを広げた。
 ワンポイントで福山を送り込むなど、ファジャーニ監督が勝負に出た。ここは1本で切られたが、宮浦のバックアタック、藤中のスパイクで得点を重ねると、フェリペの強打が炸裂してセットポイント。25−20で2セットを連取した。

 第3セットは一方的な展開に持ち込んだ。宮浦のスパイクで先制。久保山が好レシーブでつないだボールをフェリペが決めた。圧巻は3−3からだ。村山の3連続ブロックを含む6連続得点。フェリペがサーブで相手を崩し、攻撃の選択肢を絞った。サービスエースもあった。バックアタックでラリーを制し、9−3とした。
 さらに10−5から5連続得点を奪った。その間、陳がブロックを2本決めた。宮浦、藤中もスパイクを決めた。宮浦が決めて16−6、あとは落ち着いて試合を進めていくだけだった。
 フェリペに代わって入った都築が積極的にボールを呼び込む。宮浦がスパイク、ブロックで連続得点。ワンポイントで金丸もコートに入った。藤中のスパイクで21−10。ここから3連続失点を喫したが、慌てる者は一人もいない。
 宮浦がサイドアウトを切った。袴谷をコートに送り込むと、相手のミスが続いてマッチポイント。最後は柳澤が呼ばれ、登録メンバー全員がコートに立った。袴谷のスパイクでフィニッシュ。25−15でこのセットを制したジェイテクトSTINGSがストレート勝ちを決めた。

 チーム一丸でつかみ取った勝利だ。一人ひとりが役割を果たした。
「出だしが重要だった。1点1点に対して、みんなが集中していた。何よりうれしかったのは、今まで試合に出ていない選手がコートに立ったことです」
 試合後の勝利者インタビューでフェリペはこう話した。会心の勝利で来週のホームゲームにつなげた。徳島でジェイテクトSTINGSらしいバレーを展開し、白星で年内のVリーグを締めくくりたい。

フェデリコ・ ファジャーニ監督

昨日よりもいい試合ができました。サイドアウトに安定感があり、サーブとブロックもよかった。立ち上がりはブロックがあまりよくなかったけど、少しずつ上げていくことができました。村山のブロックポイントが多い理由は、リードがうまく、相手のセッターがどこにトスを上げるかをうまく読んでいるのだと思います。ブロックの動きに関しては、村山だけでなく他の選手も力を入れているところ。もちろんサーブで攻めて相手を崩せば、ブロックも対応しやすくなります。また、相手や状況によってブロックのラインを変えているところがあり、それも守備が機能している要因です。来週はホームゲームですが、簡単な試合にはなりません。アグレッシブに入らなければいけないし、一つひとつのボールの重みがちゃんとわかるように、そういう姿勢でプレーしなければいけないと思っています。

藤中優斗

昨日の落としたセットもそうですが、出だしにレセプションでつまずいて、そのままずるずるいくパターンが多くありました。そのため、まずは1本目を返すことを意識して、試合に入りました。そこを自分たちのペースで進められたことが、一番の勝因だと思います。レセプションの数字には満足していませんが、(人と人の)間のボールだったりコミュニケーションを取ることを意識しています。酒井コーチを中心にミーティングもできているので、これから徐々に上げていけたらと思います。また、ブロックもいいので、ディグもすごくやりやすいです。上位が混戦というのは事実ですが、そこはあまり意識せず、今週のように一つひとつ勝つことが自分たちには必要です。僕自身としては、レセプションをもっと返すこと。ボールが上がったときは、泥臭くても1点を取れるように頑張ります。

宮浦健人

今日は序盤からリードできて、終始自分たちのペースで進められたことが勝因だと思います。個人的には、難しいボールにも勇気を持って攻める気持ちでやっていこうと思っています。そこが今日はできていたのでよかったです。守備に関しては、まずは正面に来たボールをしっかり上げること。軟打を落とさないことが自分の役割だと思うので、そこはまだまだできていない部分もあります。これから一戦一戦が重要になってくると思うし、その日の試合に対して自分たちのベストを尽くすことを意識しなければいけません。来週は徳島でホームゲームですが、見てくださる方にいい試合をお届けできるように、しっかりと準備をして臨みたいと思います。

スポーツライター 岩本勝暁のココ!

エースがチームをけん引。宮浦の好調ぶりがチームの白星につながっている

オポジットの宮浦が好調だ。前日の試合はアタック決定率が60.7パーセント。今日は48.3パーセントと少し落としたが、随所で存在感を発揮した。バックアタックの打数も多く、攻撃の中枢を担う働きを見せている。高いパフォーマンスの要因は何か。「相手がガンガン攻めてくるので、そこで自分たちが引いてしまったら勝ちにつながりません。攻める気持ちを大事にしています」と宮浦。ファジャーニ監督は「いいプレーをしてくれた」と称えた上で、「Cパスからの攻撃やトランジションアタックにも力を入れていかなければいけません。時間はあるので、練習でさらに詰めていきたいと思います」とさらなる成長に期待している。混戦模様のVリーグだが、上位追撃に向けてエースに死角は見当たらない。

【スポーツライター 岩本勝暁】

1972年生まれ。大阪府出身。2002年にフリーランスのスポーツライターとなり、主にバレーボール、ビーチバレーボール、サッカー、競泳、セパタクローなどを取材。2004年アテネ五輪から2012年ロンドン五輪まで3大会連続で現地取材するなど、オリンピック競技を中心に取材活動を続けている。

詳細
対戦カード ジェイテクトSTINGS VS VC長野トライデンツ
第1セット 25 - 14
第2セット 25 - 20
第3セット 25 - 15
第4セット
第5セット
日付 2021年11月28日(日)
試合 2021-22 V.LEAGUE DIVISION1 MEN 第12戦
場所 松本市総合体育館
メンバー 藤中、陳、フェリペ、村山、宮浦、久保山 L本間、興梠
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