ジェイテクトSTINGS VS ウルフドッグス名古屋

金曜日の反省を修正して、立ち上がりから主導権を握る。フェリペのアクシデントなどもあり試合はフルセットへ。最後はサーブレシーブが乱れて、点差を離された

 愛知ダービーのゲーム2は、フルセットにもつれ込む熱戦となった。勝敗を抜きに考えれば、非常に収穫の多い試合だった。前日の試合で浮き彫りになった課題も、今日の第1、2セットでしっかりと修正している。
 だが、結果が求められる世界に身を置く以上、勝ちにこだわらなければいけない。その点では、悔しい一戦になった。試合後の選手の表情が、何よりもそのことを物語っていた。

 セッター久保山のサーブからスタートするS1ローテでゲームがはじまった。立ち上がりは宮浦のサービスエース、都築のブロックなどで3連続得点。さらにフェリペのスパイクなどで4連続得点を奪い、9−4とリードを広げる。サーブとブロックでプレッシャーをかけ、試合の主導権を握った。
 リベロの本間も好レシーブを見せ、陳のブロックなどで3連続得点。13−7となったところで、ウルフドッグス名古屋は早くも2回目のタイムアウトを消化した。さらにジェイテクトSTINGSがたたみ掛ける。相手の意識をサイドに集め、要所で福山がクイックで加点。宮浦がサービスエースを決めて、17−10とペースをつかんだ。
 警戒すべきはWD名古屋のクレクが放つ強烈なサーブだ。中盤に4連続失点を喫した。タイムアウトでサーブレシーブを修正したが、WD名古屋の勢いは止まらない。それでも、都築がコートの奥に思い切って決めてサイドアウトを切る。この時点で18−14。流れはまだジェイテクトSTINGSの手の中にあった。
 ここから1点ずつ取り合う展開が続いた。リリーフサーバーに道井を投入。相手のサーブレシーブを崩したが、すぐにクレクに決められた。我慢の時間はなおも続く。陳のクイックでサイドアウトを切った。宮浦も角度のあるスパイクを決めた。23−21。そして、再びWD名古屋のクレクにサーブが回ってきた。都築が言う。
「隣にフェリペ選手がいましたが、相手がどこを狙ってくるかとか、自分たちのサーブレシーブのラインを話し合っていました。クレク選手が僕を狙ってくることはわかっていたけど、狙うサーブは少しスピードが落ちます。本当に緩かったらセッターにしっかり返し、思い切り打ってきたらとりあえず上に上げて、僕か(宮浦)健人のどちらかが打ち切れたらと思っていました」
 この試合のポイントになるシーンだった。クレクの強烈なサーブをフェリペがアタックライン付近に返した。それを都築が豪快に決めてセットポイント。クレクのサーブを1本でしのぎ、ジェイテクトSTINGSが25−22で第1セットを先取した。

 第2セットもジェイテクトSTINGSが走った。セッターの久保山は最初に宮浦を選択。正確にサーブレシーブが返れば、福山のクイックでサイドアウトを切った。さらに宮浦のサービスエースでブレイク。その後も宮浦のバックアタックなど多彩な攻撃で得点を積み重ねていく。クレクのサーブはネットイン。本間が懸命に体を伸ばしてつないだボールを福山が決めた。
 1回目のテクニカルタイムアウトを8−6。さらにフェリペのサービスエース、陳のクイックなどで優勢に試合を進める。11−8から都築のスパイク、福山のブロックなどで3連続得点。6点のリードで2回目のテクニカルタイムアウトを迎えた。
 都築に代えて興梠を投入し、守備を固めた。フェリペが決めて17−12。しかし、このあと、フェリペが足を痛めて交代を余儀なくされる。不測の事態にも、チームはブレなかった。代わって入った藤中が安心感をもたらした。陳がクイックを決めると、福山、都築が立て続けにブロックを決めて3連続得点。相手にブレイクポイントを取られたところで、ファジャーニ監督はすかさずタイムアウトを要求した。
 最後は宮浦にトスを集めてフィニッシュ。25−17でこのセットを制し、勝利に王手をかけた。

 しかし、第3、4セットはWD名古屋の反撃を受けることになる。藤中が入ったことで守備は安定したが、攻撃がやや偏った。宮浦、都築はバックアタックを織り交ぜながら、確実に得点を積み重ねていった。第3セットは要所で福山、藤中が決めて、一時は13−11とリード。粘り強く戦い、終盤まで僅差をキープした。ワンポイントブロッカーとして村山を送り出すなど、ネット際にも変化を加えている。
 しかし、相手のマークがきつくなり、ブロックにつかまる場面が増えた。「ハイボールが来たときに、自分が通過点を落としてしまった。ブロックを利用して打つことができなかったので、そこは今後の反省点」と宮浦。第4セットも序盤で相手に先行を許した。宮浦が止められて4連続失点。コートに戻ってきたフェリペの活躍もあり、一時は1点差まで詰め寄った。
 終盤も宮浦、都築が懸命にスパイクを決めた。WD名古屋の高い壁に真っ向から立ち向かったが、ブレイクポイントが奪えず20−25で失セットを喫した。

 第5セットのコートにフェリペの姿はなかった。しかし、藤中が安定したサーブレシーブで宮浦のスパイクを支えた。序盤は僅差のまま進行した。しかし、5−7からWD名古屋の勝岡にサーブで攻められる。都築のスパイクも止められてトータルで6連続失点。5−12とビハインドが大きく広がった。
 それでも宮浦のスパイク、都築のブロックなどで食らいついた。失った流れを一度は引き寄せた。しかし、開いた点差はあまりに大きく、9−15で敗れた。

 悔しい敗戦だ。しかし、内容は悪くなかった。ならば、次に生かさなければいけない。
「選手が入れ替わっても、安定したプレーをし続けなければいけません。もちろんトスの精度を上げることも重要です。確かに残念な結果ですが、一人ひとりのパフォーマンスに関しては満足しています。これからも前向きに続けたいと思います」
 試合後のファジャーニ監督は前を向いた。年内最後のリーグ戦を勝利で飾ることはできなかった。来週からは天皇杯がはじまる。前回王者として戦う舞台を、巻き返しのきっかけにしたい。

フェデリコ・ ファジャーニ監督

ウイングスパイカーの位置を変え、都築選手を前衛からスタートさせたかったのでS1から入りました。相手とのマッチアップも考えました。Vリーグでの経験がそれほどないことを考えると、都築選手はとてもいいプレーをしてくれたと思います。確かにフェリペ選手が交代した影響は少なくありません。フェリペ選手と都築選手がコートに入っているときは、アタックの選択肢が多いからです。レセプションも安定していました。負けはしましたが、大きく変えるつもりはありません。今までの練習を続けることが重要です。もちろん細かいところは修正します。アタックのコンビネーションも修正しなければいけないでしょう。でも、今日の試合で、このチームに力があることは証明できました。全体的にポジティブなプレーができたと思います。

フェリペ・フォンテレス

チームのことを誇りに思っています。少しずつ自分たちのバレーができるようになってきました。バレーボールは技術的なスポーツで、私が交代したあとのハイボールは、宮浦選手や都築選手に負担がかかったと思います。それに加えて、相手チームはセッターも代わりました。トスの配球が変わり、そういう意味では安定感を失いました。私の役割は点数を決めることですが、都築選手のような若い選手の手助けをすることも大事です。課題を克服するためには、私の経験が必要になるときもあるでしょう。例えば、都築選手が安心してプレーできるように、そして、アタックに専念できるように、常に彼をカバーするなど多くの責任を持ってプレーしなければいけません。来週からはじまる天皇杯は我々にとってすごく大事な大会です。しっかり治療して、万全の態勢で臨めるように頑張ります。

都築仁

今シーズン初めてスタメンで出させてもらいました。金曜日の試合も、個人的にはいい感じで終われたと感じていました。今日も控えに藤中さんや柳澤さんがいるので、思い切ってやろうという気持ちで試合に入りました。フェリペ選手の負傷もあって、僕と(宮浦)健人にトスが上がることはわかっていましたが、コンビネーションが合わなくて決め切れなかったことが勝敗に直結したと思います。調子自体はそれほど悪くなかったけど、例えば第3セットの終盤や第5セットの勝負どころで決め切れなかったことは悔いが残ります。自分の実力不足というか、気持ちの面でも技術の面でも足りていなかった。来週は天皇杯ですが、負けたら終わりなので修正して臨みたいと思います。

スポーツライター 岩本勝暁のココ!

都築の活躍は巻き返しの起爆剤になるか。OHのポジション争いにも期待

徳島大会の収穫は、何といっても都築の活躍だろう。昨日のゲーム1は、第3セットから出場。チームの攻撃を立て直すのに貢献した。1−3で敗れはしたが、第4セット終盤の粘りは、初スタメンとなった今日の第1、2セットの勝利につながっている。フェリペや本間が守備の負担を軽減しているとはいえ、攻撃面での貢献度は大きい。チームからの信頼も厚く、試合後の会見でフェリペがこう口にした。「都築選手は初スタメンでありながら、とてもいいプレーをしました。彼のプレーを誇りに思います。Vリーグのようなレベルの高いところでプレーできる選手と言えるでしょう」。ファジャーニ監督も「ブロック、レセプション、サーブでも貢献してくれた。非常にいいプレーをしてくれた」と高く評価している。「オフェンスが持ち味」と話すルーキーがこのままフィットすれば、チームはとてつもなく大きな武器を手に入れたことになる。藤中をはじめ他のアウトサイドヒッター(OH)とともに、お互いを高め合ってほしい。

【スポーツライター 岩本勝暁】

1972年生まれ。大阪府出身。2002年にフリーランスのスポーツライターとなり、主にバレーボール、ビーチバレーボール、サッカー、競泳、セパタクローなどを取材。2004年アテネ五輪から2012年ロンドン五輪まで3大会連続で現地取材するなど、オリンピック競技を中心に取材活動を続けている。

詳細
対戦カード ジェイテクトSTINGS VS ウルフドッグス名古屋
第1セット 25 - 22
第2セット 25 - 17
第3セット 21 - 25
第4セット 20 - 25
第5セット 9 - 15
日付 2021年12月5日(日)
試合 2021-22 V.LEAGUE DIVISION1 MEN 第14戦
場所 アミノバリューホール
メンバー 陳、福山、フェリペ、宮浦、久保山、都築 L本間
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