ジェイテクトSTINGS VS ヴィアティン三重

苦しみながらも、宮浦のサービスエースで第1セットを奪取。リズムを取り戻すと、多彩な攻撃で相手の守備を翻弄した

 ディフェンディングチャンピオンとして臨む天皇杯。しかし、チームに気負いはない。ファジャーニ監督が「1試合1試合を決勝戦のつもりで戦いたい」と話すように、目の前の試合に全力を尽くすことが重要だ。

 しかし、立ち上がりはやや硬さが見られた。宮浦が強烈なサーブをたたき込み、ラリー中に村山のクイックを使うなど攻める姿勢は見せた。しかし、3−1から4連続失点。フェリペがサーブレシーブを崩されるなど、ヴィアティン三重に先行を許した。声も出ていなかった。
 流れを変えたのはルーキーの3人だ。宮浦のスパイクでサイドアウトを切り、都築がサーブで攻めた。村山は粘り強くブロックでタッチを取り続けた。呼応するように、フェリペのエンジンもかかりはじめた。5連続得点を奪い、3点のリードで1回目のテクニカルタイムアウトを制した。
 中盤は都築のバックアタック、福山のブロックが機能。しかし、13−9から6連続失点。我慢の時間が続いた。この日のリベロは、サーブレシーブで本間が、ディグで興梠が入るなど、それぞれの役割を果たしている。守備が大きく崩れることはなかったし、落ち着いて試合を進めていた。実際、この連続失点の間も、本間が随所にファインプレーを見せている。ただ、わずかな歯車のズレが、失点を招いていた。
 ヴィアティンを勢いに乗せてはいけないことは誰もが知っていた。宮浦がサイドアウトを切った。セッターの久保山は村山にトスを託した。17−18の場面で都築から藤中にスイッチ。守備を固めた。フェリペ、宮浦が決めてリズムよくサイドアウトを切っていく。要所で福山が高い打点からスパイクを決めた。
 しかし、宮浦のスパイクが止められて21−23。ファジャーニ監督はここでタイムアウトを要求する。流れは完全にヴィアティンに傾いていた。
 都築のスパイクでサイドアウトを切った。22−23。ここで宮浦にサーブが回ってくると、2本連続でサービスエース。失った点数を倍返しで取り返した。逆にセットポイントを握ったジェイテクトSTINGS。しかし、ヴィアティンも粘り、第1セットはデュースにもつれ込む。ワンポイントで陳を投入。しかし、ここは1本で返された。
 フェリペのスパイクでラリーを制してセットポイント。最後は宮浦のブロックで28点目を奪い、接戦をものにした。

 第2セットはジェイテクトSTINGSが序盤から走った。福山のクイック、村山のブロックなどで4連続得点。1点を返されたが、フェリペのダイレクトスパイクや宮浦のサービスエースで3連続得点を奪い7−2と引き離した。このセットのスタートから入った藤中も、守備を安定させた。
 その後も、村山のクイック、藤中のブロックなどで順調に得点を重ねていく。一時は2点差まで詰められたが、タイムアウトを取って嫌な流れを断ち切った。12−10からフェリペのブロックなどで3連続得点。2回目のテクニカルタイムアウトを5点のリードで奪った。
 20−16の場面でリリーフサーバーの道井を投入。狙いを定めたジャンプフローターサーブが機能し、2度のブレイクポイントを奪った。終盤は圧巻の試合運びだった。福山が軟打を決めて23点目。宮浦のブロックでセットポイント。最後は藤中のブロックで25−18、ジェイテクトSTINGSが2セットを連取した。

 第3セットは、いきなりサービスエースを決められた。しかし、ジェイテクトSTINGSは慌てない。宮浦が相手コートの空いたスペースをうまく使ってブレイク。序盤は藤中にトスを集めて、相手のブロックに揺さぶりをかける。宮浦がノーマークでスパイクを放つなど、完全にペースを握った。興梠のディグも光った。攻守に安定感を取り戻し、1回目のテクニカルタイムアウトを3点のリードで折り返した。
 11−8から4連続得点を奪い、試合の主導権を握った。村山のBクイック、宮浦のサービスエースなどで加点。ヴィアティンはタイムアウトを要求するが、流れまでは渡さなかった。その後もブロックで相手にプレッシャーをかけ続けた。
 ベンチの動きも早かった。サービスエースを決められて20−15となったところでタイムアウト。宮浦にトスを集めて確実にサイドアウトを切っていく。藤中が決めてマッチポイント。村山のクイックで試合を締めくくった。

 第3セットを25−20。ジェイテクトSTINGSがストレート勝ちを決め、明日の準々決勝に駒を進めた。堺とは今シーズン初めての対戦になる。
「(堺は)とてもいいチームです。でも、ウィークポイントは必ずあります。自分たちがやるべきはサーブとサイドアウトをしっかり取ること。自分たちのベストを尽くして戦います」
 試合後にこう話すファジャーニ監督からは、自信と気迫が満ち溢れていた。

フェデリコ・ ファジャーニ監督

第1セットは苦しみましたが、第2セット以降はサイドアウトがうまく取れていました。サーブで攻めたことも、相手に簡単に点数を与えなかった要因です。レセプションやアタックのシステムもバランスが取れていました。途中から藤中選手を投入しましたが、レセプションのシステムで助けてもらいたいと思っていました。都築選手のプレーが悪かったわけではありません。チームにとってあの交代が必要だったのです。この大会で意識しているのはサイドアウトとコンビネーションです。選手もそれはわかっている。ただし、それを行動に移すためには、試合に勝ち続けなければいけません。自分たちのベストを尽くすことを心がけて、明日の堺戦に臨みたいと思います。

宮浦健人

第1セットは、攻めてくる相手に対して、受け身になってしまいました。それが、入りが悪かった要因だと思います。ただ、自分の感触として、そんなに調子が悪かったわけではありません。スパイクの面で調子がよくなかったので、サーブを頑張ろうと思っていました。(第1セット終盤の連続サービスエースは)劣勢の場面だったので、サーブを入れにいっても相手の勢いで返されると思いました。とにかく攻めることを意識していました。もちろん天皇杯は優勝したいと思っているし、一戦一戦ベストを尽くすことが大事です。その中で、最終的にチームとして成長できればいいと思うし、個人としても1試合ごとに対戦相手が変わる中、対応力を身につけたいと思っています。明日も自分たちの力を100パーセント出し切れるように頑張ります。

村山豪

相手は昨日も1試合やっていて、体育館にも慣れている状況でした。逆に自分たちは今日が初戦。序盤はリードした場面もあったけど、相手のサーブに攻め込まれてからサイドアウトが取れない時間帯がありました。宮浦のサーブなどでリズムをつかむことができ、そこからいい展開になりました。あの第1セットを取れたことが大きく、そこから第2、3セットとリズムに乗れたと思います。我慢の時間帯も、チャンスは必ずあるので、それを逃さないこと。1点1点をしっかり取っていこうと思っていました。天皇杯は年明けのリーグ戦にもつながるので、個人としてもチームとしても成長できるようにしたい。負けたら終わりなので、1点1点を全力で取りにいきます。

スポーツライター 岩本勝暁のココ!

第1セット終盤に宮浦が連続サービスエース。攻める姿勢が勝利に結びついた

トーナメントの初戦の難しさは、誰もが知っている。集中はしていたはずだ。しかし、試合の入り方は決してよくなかった。油断があったわけではない。相手のサーブミスで楽に点が入るなど、集中力が途切れる要素はあった。ファジャーニ監督は言う。「こういう大会をいい形でスタートするのは難しい。特に相手がV2や大学生であった場合、自分たちのベストを尽くしてきます。逆に自分たちは少し緊張しているように見えました」。チームを救ったのは、「相手どうこうではなく、自分たちのベストを尽くすことを意識しました」と言う宮浦らルーキーだ。宮浦がサーブで、都築がスパイクで、村山がブロックで相手にプレッシャーをかけ続けた。象徴的だったのが、第1セット終盤の宮浦の連続サービスエースだろう。攻める姿勢が、チームに流れを引き寄せた。

【スポーツライター 岩本勝暁】

1972年生まれ。大阪府出身。2002年にフリーランスのスポーツライターとなり、主にバレーボール、ビーチバレーボール、サッカー、競泳、セパタクローなどを取材。2004年アテネ五輪から2012年ロンドン五輪まで3大会連続で現地取材するなど、オリンピック競技を中心に取材活動を続けている。

詳細
対戦カード ジェイテクトSTINGS VS ヴィアティン三重
第1セット 28 - 26
第2セット 25 - 18
第3セット 25 - 20
第4セット
第5セット
日付 2021年12月11日(土)
試合 令和3年度天皇杯 2回戦
場所 高崎アリーナ
メンバー 福山、フェリペ、村山、宮浦、久保山、都築 L本間、興梠
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