ジェイテクトSTINGS VS 堺ブレイザーズ

宮浦が吠えた! 渾身のサービスエースで第2セットを制す。あと一歩のところで敗れたが、コートに立った全員が気迫のこもったプレーを見せた

 堺ブレイザーズとの準々決勝は、フルセットにもつれ込む大熱戦になった。ハイライトは、1セットダウンで迎えた第2セットだ。驚異の粘りを見せ、デュースに突入した接戦を逆転でものにした。
 入りは苦しんだ。相手のフローターサーブに守備を崩され、なかなかサイドアウトが切れない。村山のクイックも機能せず、いきなり4連続失点を喫した。ここでファジャーニ監督はタイムアウトを要求。宮浦のスパイクでサイドアウトを切ると、久保山のサービスエースをきっかけに流れを大きく引き寄せる。福山のブロック、宮浦のスパイクに続いて、このセットのスタートから入った都築がブロックポイント。7−8。紙一重の内容で、1回目のテクニカルタイムアウトを迎えた。
 ここから互いに1点ずつ取り合う展開が続く。福山のクイックには高さがあった。リベロの本間を軸に、全員が体を張ってボールをつないだ。宮浦がネット際の競り合いで強さを見せる。都築はしなやかなフォームから強烈なスパイクをたたき込んだ。
 2回目のテクニカルタイムアウトが開けると、ジェイテクトSTINGSが反撃を開始する。14−17から3連続得点。村山がキレのあるスパイクでサイドアウトを切った。宮浦が強烈なサーブをエンドラインいっぱいに決めた。18−18の場面で陳を投入。フェリペがサーブで攻め、陳が堺のエバンズをシャットアウト。ついに逆転に成功した。
 都築のスパイクが止められて先行を許したが、チームに下を向く者は一人もいない。興梠を投入して守備を固めた。しかし、宮浦のスパイクがアウトになると、本間の好レシーブも得点につながらず堺にセットポイントを許す。
 ここからの粘りがすさまじかった。相手のサーブミスで1点を返すと、フェリペのスパイクが決まって24−24。さらに相手にミスが出て逆転に成功した。デュースは意地と意地のぶつかり合い。一時は堺に先行されたが、フェリペのブロックなどで再びリードを奪う。宮浦のスパイクで33−32。最後は宮浦のサーブが相手コートに突き刺さり、ジェイテクトSTINGSが接戦をものにした。

 第3セットは、宮浦が獅子奮迅の活躍を見せた。
「天皇杯の中でもこの試合が非常に重要だということは、チームとして認識していました。最初からエネルギーを出してプレーしようと思い、気持ちの面でも昂ることが何度もありました」
 試合後にこう振り返った宮浦。気迫のこもったプレーでチームを引っ張った。4−4の場面では、本間が上げたハイセットを相手コートの奥にたたき込んだ。拮抗した展開が続く。要所でフェリペが剛腕を発揮。1点のリードで1回目のテクニカルタイムアウトを制した。
 8−8の場面では、宮浦が難しいハイセットを決めて加点。11−11から3連続得点。本間のファインプレーでボールをつなぐと福山のクイックでラリーを制した。しかし、点差が離れない。我慢の時間が続いた。都築のスパイクが止められて、16−16の同点。宮浦、村山のスパイクでサイドアウトを切るが、フェリペのスパイクがアウトになって19−20と逆転を許す。
 ファジャーニ監督はここでタイムアウト。チームは集中力を切らさない。フェリペのスパイクで嫌な流れを断ち切った。宮浦も続いた。勝負どころは22−23の場面だ。ラリーから久保山が相手のスパイクをつないだ。本間がアンダーで上げたトスを宮浦が打ち抜いた。さらに強烈なバックアタックでブレイク。宮浦が吠えた。チームに勢いをもたらす会心のスパイクだった。
 デュースにもつれ込んだ。相手のサーブがアウトになって26−25。久保山のブロックでフィニッシュ。ジェイテクトSTINGSが27−25でこのセットを奪い、勝利に王手をかけた。

 第4セットは18−25で失ったが、途中から入った柳澤、袴谷がチームを盛り上げた。
 運命の第5セットは、福山のサーブからはじまった。宮浦のジャンプは相変わらず高い。村山のブロックでブレイクポイントを奪った。しかし、流れをつかみ切れない。村山のクイック、藤中のスパイクでサイドアウトを切るが、試合のペースは堺のまま。5−7となったところでファジャーニ監督は1回目のタイムアウトを要求した。
 セッターの久保山は宮浦にトスを集める。さらに足を痛めたフェリペが交代を余儀なくされた。村山のクイックでブレイク。8−9。都築が難しい体勢から決めて僅差を維持する。宮浦が止められて10−13となったところで2回目のタイムアウトを消化した。
 ここでフェリペがコートに復帰。11−14。あとがなくなった。藤中が意地の一発で2点差に詰め寄る。堺のエバンズが放ったスパイクがわずかにアウト。これで1点差。チャンスはあった。堺も2回目のタイムアウトを要求する。確実にプレッシャーはかかっていた。しかし、相手がただ返してきたボールがポトリと落ちた。13−15。この瞬間、ジェイテクトSTINGSの準々決勝敗退が決まった。

 勝利まであと一歩のところだった。本間が悔しさを噛みしめながら言った。
「堺さんに対して、『お、やるな』という印象は与えられたと思います。年明けのリーグ戦は堺さんとの試合からはじまりますが、(今日の試合と比べて)戦略面などお互いにどう変えたかを見るのも、ファンの方々にとっては楽しいと思います。僕らは僕らで、修正できるところは修正しないといけない。そういういいバレーを、お互いにぶつけ合えたらと思います」
 年内の試合がすべて終わった。リーグ戦は2022年1月8日に再開する。舞台はジェイテクトアリーナ奈良だ。悔しさをぶつけ、リベンジを果たしたい。

フェデリコ・ファジャーニ監督

選手たちのプレーを誇りに思います。いいプレーができなかった選手もいましたが、デュースの末に第2セットを奪って勝つチャンスを得ました。セッターの久保山は、もっとミドルを使えると思うし、もっと正確なトスが上げられます。もちろん、ベストを尽くしてくれました。ですが、相手との違いは、コンビネーションの部分に表れたと思います。もっとクイックを使ってもよかった。また、途中から入った選手も含めて、全員がベストを尽くしてくれました。選手を入れ替えて、アタックのバリエーションを増やしたいと思っていました。リーグの再開まで1カ月空きますが、特にレセプションからのコンビネーションを確立していきたいと思います。

本間隆太

悔しい気持ちでいっぱいですが、力を出せなかったかと言われると、いいところもたくさんありました。チームとしては、プラスの方向になる部分がたくさんあったと思います。堺さんとは今シーズン初めての対戦になりますが、昨年からセッターも代わっているし、何よりエバンズ選手は本当にいい選手です。ただ、今日の試合は、そのエバンズ選手に頼るトス回しではなかったので、そこが想定外というか、相手のほうが上回っていたと思います。リーグ戦の再開まで1カ月空きますが、相手どうこうではなく、点を取らなければいけない状況でスパイクが決まらなかったり、コンビが合わない場面がありました。2点差で負けるゲームはそういうところで差が出てくるので、できればそこは詰めたい。特にコンビネーションの部分を修正したいと思います。

福山汰一

第1セットは相手に勢いがあって押し切られましたが、第2セットからはしっかりと自分たちのバレーができました。特に第1セットはサーブが機能せず、ブレイクも取れていませんでした。第2セットに入るときに、『もうちょっとサーブのクオリティを上げよう』という話をしました。その結果、いいサーブが入って、しっかり取ることができたのが大きかったと思います。第4、5セットは中盤から終盤にかけて勝つチャンスがあったのに取り切れませんでした。まだまだもろいと感じました。リーグ戦の再開まで、練習はそのまま続けていきます。今日までの試合で得たものが一人ひとりにあると思うので、そこをもうちょっと突き詰めていきたい。それに加えて、相手のブロックがいくら高くても逃げず、こっちのバレーをするということを突き詰めていけたら、まだまだ上に行けると思います。

スポーツライター 岩本勝暁のココ!

久保山の配球に変化。多彩な攻撃で、新しいバレーを構築したい

立ち上がり、セッター久保山の配球を見て「おっ」と思った。最初に福山のクイックを選択したのだ。いつもと違う空気を感じた。福山が言う。「セッターとミドルブロッカーの関係で言うと、これまでのリーグ戦よりも序盤から終盤までクイックを使い続けた試合でした。先週のミーティングでも『決めている本数は多いのに、どうして(クイックを)使わないのか』という話をしました。それ以降、久保山さんが数多くトスを上げてくれるので、それに応えようと思いました。結果的に数字は悪くなかったと思います。新しいメンバーも入っているので、これを継続していけば新しいバレーが作れるでしょう。まだまだレベルアップできるチャンスはいっぱいあります」。福山、村山のクイックを駆使することで、宮浦をはじめサイド陣の攻撃が光った。明らかにバックアタックも増えている。リーグ戦の再開までおよそ1カ月。最高の準備をして、今度こそ堺から勝利をもぎ取りたい。

【スポーツライター 岩本勝暁】

1972年生まれ。大阪府出身。2002年にフリーランスのスポーツライターとなり、主にバレーボール、ビーチバレーボール、サッカー、競泳、セパタクローなどを取材。2004年アテネ五輪から2012年ロンドン五輪まで3大会連続で現地取材するなど、オリンピック競技を中心に取材活動を続けている。

詳細
対戦カード ジェイテクトSTINGS VS 堺ブレイザーズ
第1セット 21 - 25
第2セット 34 - 32
第3セット 27 - 25
第4セット 18 - 25
第5セット 13 - 15
日付 2021年12月12日(日)
試合 令和3年度天皇杯 準々決勝
場所 高崎アリーナ
メンバー 藤中、福山、フェリペ、村山、宮浦、久保山 L本間
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